所得制限

所得制限とは

ある一定金額の所得を得ている人を、行政によるサポートの対象から外すために設定されている基準です。

一般的に、所得が基準よりも多い人を対象に、所得制限がされています。
行政によるサポートの中には、児童手当や高校の授業費無償化だけではなく、医療費の負担額増や障害児手当等も含まれています。
高所得者の子供の中にも、大学進学を諦めざるを得ない子や、障害児のデイ費用負担額が高すぎて通えず、兄妹児がヤングケアラーとならざるを得ない子供もいます。

このページでは、少しでも多くの方に所得制限を知って頂き、
子供たちの未来を考えるキッカケにして頂けたら嬉しく思います。

子育て”支援”の所得制限

児童手当(0歳~中学卒業まで)0円 世帯主の所得が1,200万円以上
5,000円 世帯主の所得が960万円以上
10,000~15,000円/月 世帯主の所得が1200万円以上
15歳までに通算で200万円程の差が生じる
子供の医療費の補助市区町村によって所得制限。医療費の2割~3割を自己負担に。
保育園の料金(0歳~小学校入学まで)8万円程度/月
住民税非課税世帯は0円なので、最大(2.5年)で240万円の差
しかも、低所得者が優先されるので、高所得者は希望する保育園にも入りにくい
産前産後のヘルパー派遣
(市区町村によって異なる)
(横浜市参照)
生活保護世帯・住民税非課税世帯(推定世帯年収270万円以下) 無料
市民税所得割77,100円以下の世帯(推定世帯年収~360万円以下)500円
それ以上 なし
高校無償化0円。
年収660万円未満(共働き扶養1名の場合)396,000円/年。
年収1030万円未満(共働き扶養1名の場合)なら118,800円。
私立高校と通信制は297,000円が上限。
3年間で1,188,000円の差。

東京都や神奈川、大阪などは県ごとにさらに助成金がでるが、
そこにも所得制限があるため差額が広がる一方。
詳しくは高校無償化の所得制限をご覧ください。
給付型奨学金(大学生)
私が通っていた私立大学は年間100万円だったので、ざっくり400万円の差。
貸与型奨学金(大学生)家族構成にもよるが、世帯合算で1,000万円前後で貸与型奨学金も借りることができなくなる。
詳しくは大学生の奨学金の所得制限をご覧ください。
10万円給付10万円
新型コロナウイルスの拡大で経済悪化に伴う給付金。
何度か行われる。
障がい児手当
特別障害者手当
障がい児手当 14,880円/月、27,350円/月
特別児童扶養手当 一級52,400円 二級34,900円

しかも所得制限の上限が低い。
恐ろしいことに、所得制限に引っかかると1円もサポートを受けられず、
車いす代や装具も全部自腹に・・・
表1 子育て支援で所得制限されているもの

ちょっと調べただけでも、健常者でも1,000万円以上差がついています。
障がい児ならその数倍差が付きます。

正直、児童手当だけ、高校無償化だけ、ならば所得制限がかかっても何とかなると思います。
しかし、重層的に所得制限がかかるとどうでしょうか??
1,000万円を支援受けれる子供と、受けられない子供がいるのはとても不幸なことではないでしょうか?

これだけはすまない!子育て世帯が備えておかないといけない自助

「でもぉ~高所得者でしょ?1000万円くらいどうにかなるんじゃない?」
そう思う人もいるかもしれないので、さらに、子育て世帯に襲う所得制限を知って頂ければと思います。

高額療養費制度高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、
ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、
その超えた金額を支給する制度です。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。

遺族年金遺族年金とは、家計の稼ぎ頭の人が何らかの理由で亡くなった場合に、
遺族に対して支給される公的年金のことを意味します。
遺族にとっては遺族年金が生活の支えになります。
しかし、所得制限あり。
所得制限:850万円

もしも、大黒柱が病気になった場合、収入が減ったとしても、25万円以上の自己負担が必要で
しかも、その間の家族の生活費はどうなるのか…と考えると、保険料は高くつけておかないといけませんよね。

さらに、遺族年金。
パートナーが亡くなって、夫婦に馬力でやってきたのに、
自分の稼ぎが850万円以上あると、子どももご自身も遺族年金は受け取れません。
元々、夫婦2馬力を想定していたのに、突然パートナーが亡くなってしまって
遺族年金ももらえなくなってしまったら・・・

ここまで考えると、やはり保険はしっかりした手厚いものに加入する必要があります。

【大事】 高所得者はやりくりが下手ではなく、超貯蓄をしないといけない!

ツイッターなどで「高所得者だけど、高い納税額を払っているのに、所得制限がかかっていて生活が苦しい」という声を聴いたことがある方もいるかと思います。

そして、「絶対」といえるほど、
「やりくり下手」「300万円でも生活できる」「家計簿見ましょうかw」「身の丈に合った生活を」
という声が上がってきます。

推測でしかないのですし、きちんと統計を取ったわけではないので
申し訳ないのですが、年収300万円のかたとは比にならないほど、
子育てをしている高所得者貯蓄をしているし、投資もしてるし、保険もかけてる人達なので、
家計簿の中身は他の国か?と思うくらい異なります。

なぜなら、全部自助だから。

高校進学のための費用…高校無償化受けられません。貯蓄します。
大学進学のための費用…奨学金受けられません。貯蓄します。
病気になっても治療費高い…保険を掛けます。

これが高所得者の生活が苦しくなる理由です。
全部自助。もしもの時さえ自助を求められるのが高所得者です。
大きな病気やケガをしてしまったら、稼ぎは減るけど、高額療養費制度のランクが下がるわけじゃない。
その間の家族の生活や教育費は必要だから、保険や貯蓄をしないといけない。

高所得者の方々は、その必要経費をひたすら貯蓄をしなければ、
いざという時に、子供の人生が詰んでしまう…そのため一生懸命貯蓄しています。
しかし、必要分と言ってもどのくらいの金額か、ご存知でしょうか?

高校の学費は私立200万円。これは学費だけですから、塾や部活動代はまた別。
大学は私立で600万円。医学部志望なら5000万円。
貯金をしておく必要があります。
これはもちろん、一人だけの計算ですから、多子の場合は人数分かかります。
そして、この額は学費だけですから、生活費はまた別で必要になります。

さらに、「もしも」に備えておくのも全部自助の人たちには必要な経費です。
病気や怪我の際の高額療養費制度も最高額になる(月額25万円超)
もし、夫婦のうちどちらかが亡くなっても、遺族が850万円以上の収入があれば遺族年金はもらえない。
など、人生計画があるなら、もしもに備えておく必要があります。

ところが、その必要経費の貯蓄が十分にできない!!
というのが、1000万円前後の子育て世帯の苦痛の叫びの原因の一つです。

生まれる前から全部こういう制度だと知っていて準備していたらいざ知らず、
ほとんどの方がこんなに所得制限だらけだとはご存知ではないのでしょうか?
所得制限がないのって幼保無償化と小中学校くらいで
子育ては所得制限の沼地と化しています。

さらに、子どものために家族のために頑張ったら所得制限に引っかかります。
産んだ時にはそんな収入あるほうとは思ってなかったとしても
子どもが高校・大学になる頃には所得が上がってて気が付けば所得制限!
ということもあるでしょう。

早めに気づければ対処できても入学してから気づいたら大変。
「無償だと思って私立を選んだら有償!
仕方ないから下の子は公立で我慢してね!」
となってしまうのもの、兄弟間で差が生じてしまうのも不幸のもとです。

まだまだあります。
ときの政権のさじ加減で所得制限は下げることが可能です。
つまり、「別に高所得者じゃないし、大丈夫」と思って産んだつもりが
所得制限のバーが下がることは大いにあり得ます。
「計算もして大丈夫だと思ったから産んだのに…」と、がっくりと肩を落とす人もいます。

さらに増税です。
同じ収入でも増税や社会保険料の増加で数十万円所得が減っています。
例を出すなら700万円稼いでも、50万円手取りが減っています。
大きいですよね。
さらにその間に消費税も増税しています。
消費税は全ての消費にかかりますから、消費が激しい子育て世帯には痛手です。

これだけではありません。
私たちが老人になった時に、子どもに迷惑をかけないために
自分たちの老後資金も貯めないといけませんよね?
一人2,000万円×2名分で4,000万円を同時進行で貯めます。

まさか、私たちが老人になるころは、2名の若者が1名の老人の年金を支える…
という位少子化が進んでいますから、既に社会保険料や税金で苦しいであろう若者に
おんぶにだっこになろうという大人は居ないでしょう???

これらを全部考慮して、子どもを産んで育てられる人っていますか?
いつ所得税制が見直されて、いつ所得制限が下がって、いつ消費増税されて…と予想して
自分の老後資金を貯めながら、子育てできるでしょうか?

子育ての所得制限を全て知るのは意外と難しい!

私自身、子供に与えられるはずの給付金や無償化が、なぜ親の所得で制限をされるのか、疑問を持ち、調べてみましたが
普段聞きなれない「所得」「扶養」などの言葉が連なる上、
上記表1子育て支援で所得制限されるものに掲載されている子育て支援だけでも
所得の計算方法が異なっていたりして、非常に難しいと感じました。

それゆえ、私のような一般人には所得制限が他人事になってる人が多いのではないかと思い、調べてみました。

例)児童手当の所得制限は?

【所得制限】
収入 1200万円
0円 支給打ち切り
【所得制限】
収入 960万円
特例給付金
一律 5,000円
所得制限以下0~2歳 15,000円
3歳~小学生 10,000円(第三子以降は15,000円)
中学生 10,000円
表2 メディアで見かける児童所得の大雑把な所得制限と支援額

まず、世間やツイッターを騒がしている児童手当の所得制限。

児童手当の所得制限は3層構造になっています。

これだけ見ると「そうか。じゃあ年収960万円になる頃に気を付ければいいのか」
「うちは960万円こえてるから、次は1200万円か・・」
そう思うかと思います。

そこが第一の落とし穴。
実は上記の表2の3層構造の真ん中、年収960万円以上と様々なメディアで言っていますが
扶養親族等の数によって異なります。

特例給付金になる所得制限の境界線は!?

扶養親族等の人数所得制限限度額(万円)収入額の目安(万円)
0人622833.3
1人660875.6
2人698917.8
3人736960
4人7741,002
5人8121,040
表3 児童手当が特例給付金(5,000円)になる境界線の目安
(参照:内閣府 児童手当制度のご案内

では具体的な例を出します。

例1)配偶者(年収103万円以下) + 児童1人 →2人だから所得制限698万円=収入約917.8万円

960万円以上だと思ってたのに、一人っ子の場合は920円弱で引っかかる可能性が出てきます。
960万円ならギリセーフ!と思ったら違った!ということも出てくるので要注意です。

そして、児童手当が何もなくなる所得制限

扶養親族等の人数所得制限限度額(万円)収入額の目安(万円)
0人8581,071
1人8961,124
2人9341,162
3人9721,200
4人1,0101,238
5人1,0481,276

「あれ?」って思いませんか?1200万円って聞いてたのに思っていたより低いですよね・・・
実は、1200万円になるのは、扶養家族が3人以上いる場合。
配偶者1名(年収103万円以下)+お子さん2名いる → 所得制限は1,200万円

赤ちゃんが生まれる前で、共働きで配偶者も103万円以上→所得制限 1,071万円。
生まれた瞬間から児童手当なし!!

児童手当 計算時の注意点

所得は

所得扶養控除各種控除=児童手当上の所得

で出します。

なので、どの収入が対象か、どの控除が必要か、そして、扶養の数え方を見てみましょう。

児童手当の計算に入る所得一覧

  • 総所得
  • 給与所得
  • 事業所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 一時所得
  • 雑所得

給与所得は収入ではなく、給与所得控除を引かれた後の金額です。年末調整の源泉徴収票では「給与所得控除後の金額」を使います。

  • 退職所得
  • 山林所得
  • 土地に係る事業所得等
  • 長期譲渡所得
  • 短期譲渡所得
  • 先物取引に係る雑所得等
  • 特例適用利子等
  • 特例適用配当等
  • 条約適用利子等
  • 条約適用配当等

これらの合計額が所得です。

重要!児童手当の扶養親族等の数え方

  • 所得税と同じく、生計を一にしている配偶者および扶養親族
    →生計を一にしている=同じ財布で生活してるってこと。
     別居してても、生活費を渡している親族は扶養に入れることができます。(これは所得税と一緒)
  • 生計を一緒にしていても、年収103万円以上だと扶養には入らない。(これも所得税と一緒)
  • 0~15歳の児童も児童手当の計算上は、扶養親族のカウントに入ります。(これは所得税と違う!!)
    →税金を計算するうえでは、0~15歳は扶養に入らないのでご注意ください。
  • 第〇子は、18歳に達したあと、最初の3月31日までの間にある児童(高校3年生まで)の年齢の高い順に「第〇子」と言います。
    高校1~3年生は支給対象ではなくても、扶養のカウントに入ります。
    ちなみに、第一子が高校卒業した場合…
    第一子 → 児童手当給付の計算から外れる。
    第二子 → 児童手当給付の計算上第一子になる
    第三子 → 児童手当給付の計算上、第二子になるので15,000円貰えてた子も10,000円に減額。
  • 前年の12月31日時点の状況による計算です。(これも所得税と一緒)
    赤ちゃんが扶養親族として計算できるのは翌年からです。
  • 他の控除がある場合は、収入額の目安を超えてもセーフになる可能性もある

控除額

  • 社会保険料 一律8万円
  • 雑損控除額
  • 医療費控除額
  • 小規模企業共済等掛金控除額
  • 障がい者控除 27万円(特別40万円)
  • ひとり親控除 35万円
  • 寡婦控除 27万円
  • 勤労学生控除 27万円

なんとなく、収入に対して、所得が高いので、これは控除がどうなってるんだ?
と思って調べてみたところ、使える控除がめっちゃ少ない…
ふるさと納税(寄付金控除)や住宅ローン控除も使えない。
高所得者ならすっごく高い社会保険料も一律で8万円はホントすくない。
生命保険料控除とか微々たる金額の控除もなし。

小規模企業交際等掛金控除は、イデコやDCが含まれます。

でも~うちは高所得者じゃないし、引っかかってないし~というソコのアナタ

うち、別に、所得制限引っかかってないし~と思った方、既に分割統治の罠に引っかかっていませんか?

お気づきの方も多いかと存じますが、最初は所得制限がなかったものも少しずつ所得制限が行われ、理由をつけて制限額が下げられていきます。今は大丈夫、と言っていても、自分たちが引っかかるときには他の所得層は既に賛成に回ってる可能性は十分あります。

引っかかっていない今のうちから、子育てしやすい社会になるように「うちは」ではなく「今後の日本のために」の視線で考えませんか?

私達の日本、私達の老後、私達の子どもたちが幸せで希望を感じる未来になるように考えませんか?

簡単に計算できるサイトの紹介

そうはいっても計算難しい・・・
そう思った方のために、見つけてきました!
下記のサイトでは、児童手当の給付額が計算できます。
ぜひお試しください。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1529042213

児童手当以外にもたくさんの所得制限がある!

児童手当の所得制限、少しご理解頂けましたでしょうか?

当サイトでは、国が行っている子育て支援を中心に、できるだけわかりやすく説明を心がけております。
今はまだまだコンテンツが少ないですが、サラリーマンをしながら
子育てしつつ、当サイトで皆様に情報をご提供してまいります。

お役に立てそうでしたら「こどもまんなか」ぜひ覚えておいてください!

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これからの掲載する予定の内容はこちら!


・児童手当の歴史を振り返る
・所得制限限度額 年収(児童手当 高校無償化)
・所得制限が少子化に与える影響
・所得制限で子ども同士がトラブルに
・所得制限を反対する政党
・所得制限がない自治体の紹介
・医療費の所得制限がある自治体

署名活動にご協力ください

子育て支援の拡充を
「子育て支援の拡充をしよう!」
そう声をあげて、政党を超えて、
子育て支援の拡充をしようとしている政治家たちに働き掛けをしている人達がいました!
話を聞いたところ、署名が10万人分集まると、国会でも威力を持つそうです。
所得で差別されることもなく
”本当の意味で”すべての子どもに教育や支援がいきわたり
子どもを欲しい人が生みやすい・育てやすい国に生まれ変わってほしい…
そう願いを込めて、私も10万分の1になりました。
もし、このページをご覧になって、
少しでも「日本の未来、子どものために何かしたいな」
と思ったら、ぜひ署名からスタートしてみませんか?
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