児童手当の所得制限は他の制度とは大きく異なるので注意が必要です。
児童手当と年少扶養控除の関係をまず知って!
児童手当の歴史をご存知でしょうか?
1972(昭和47)年1月が最初の児童手当。当時は出生率が2ある時代でした。
発足当初は第3子以降を対象とし、月額3,000円でした。
インフレ率で計算するとこれは現在(2022年7月26日)で計算すると9,232円になります。
その後、4,000円、5,000円と増額。第2子、第1子と増えていきます。
年齢も3歳までから小3までと変化していきます。
その後、民主党政権下「控除より手当を」というキャッチフレーズのもと、
中学3年生まで26,000円とかなり高額になったのをきっかけに
年少扶養控除(0~15歳までの扶養控除)が撤廃されました。
児童手当が拡大されたのはここまでで、今はどんどんか細くなっていっています。
つまり、今の児童手当は年少扶養控除と引き換えに得たものです。
ところが、民主党政権から自民党政権に戻った際、26000円だった児童手当は
10,000~15,000円に減額されます。
そして、特例給付と言って年収960万円以上の家の子どもには一律5,000円しか上げないよ!
という制度が加わりました。
さらに、1,200万円以上の家のこどもには支給打ち切りにされました。
しかし、児童手当と引き換えだった年少扶養控除は返されていません。
児童手当の所得制限
【所得上限】 収入 1200万円 | 0円 支給打ち切り |
【所得制限】 収入 960万円 | 特例給付金 一律 5,000円 |
所得制限以下 | 0~2歳 15,000円 3歳~小学生 10,000円(第三子以降は15,000円) 中学生 10,000円 |
まず、世間やツイッターを騒がしている児童手当の所得制限。
児童手当の所得制限は3層構造になっています。
これだけ見ると「そうか。じゃあ年収960万円になる頃に気を付ければいいのか」
「うちは960万円こえてるから、次は1200万円か・・」
そう思うかと思います。
そこが第一の落とし穴。
実は上記の表2の3層構造の真ん中、年収960万円以上と様々なメディアで言っていますが
扶養親族等の数と控除によって大きく異なります。
特例給付金になる所得制限の境界線は!?
扶養親族等の人数 | 所得制限限度額(万円) | 収入額の目安(万円) |
---|---|---|
0人 | 622 | 833.3 |
1人 | 660 | 875.6 |
2人 | 698 | 917.8 |
3人 | 736 | 960 |
4人 | 774 | 1,002 |
5人 | 812 | 1,040 |
(参照:内閣府 児童手当制度のご案内)
では具体的な例を出します。
例1)配偶者(年収103万円以下) + 児童1人 →2人だから所得制限698万円=収入約917.8万円
960万円以上だと思ってたのに、一人っ子の場合は920円弱で引っかかる可能性が出てきます。
960万円ならギリセーフ!と思ったら違った!ということも出てくるので要注意です。
960万円は、扶養親族が3人いる場合です!
そして、児童手当が何もなくなる所得制限(所得上限)
扶養親族等の人数 | 所得上限額(万円) | 収入額の目安(万円) |
---|---|---|
0人 | 858 | 1,071 |
1人 | 896 | 1,124 |
2人 | 934 | 1,162 |
3人 | 972 | 1,200 |
4人 | 1,010 | 1,238 |
5人 | 1,048 | 1,276 |
「あれ?」って思いませんか?1200万円って聞いてたのに思っていたより低いですよね・・・
実は、1200万円になるのは、扶養家族が3人以上いる場合。
配偶者1名(年収103万円以下)+お子さん2名いる → 所得上限は1,200万円
赤ちゃんが生まれる前で、共働きで配偶者も103万円以上→所得上限 1,071万円。
生まれた瞬間から児童手当なし!!
児童手当 計算時の注意点
児童手当の所得は
所得-扶養控除ー各種控除=児童手当上の所得
で計算します。
なので、どの収入が対象か、どの控除が必要か、そして、扶養の数え方を見てみましょう。
児童手当の計算に入る所得一覧
- 総所得
- 給与所得
- 事業所得
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 一時所得
- 雑所得
給与所得は収入ではなく、給与所得控除を引かれた後の金額です。年末調整の源泉徴収票では「給与所得控除後の金額」を使います。
- 退職所得
- 山林所得
- 土地に係る事業所得等
- 長期譲渡所得
- 短期譲渡所得
- 先物取引に係る雑所得等
- 特例適用利子等
- 特例適用配当等
- 条約適用利子等
- 条約適用配当等
これらの合計額が所得です。
重要!児童手当の扶養親族等の数え方
- 所得税と同じく、生計を一にしている配偶者および扶養親族
→生計を一にしている=同じ財布で生活してるってこと。
別居してても、生活費を渡している親族は扶養に入れることができます。(これは所得税と一緒) - 生計を一緒にしていても、年収103万円以上だと扶養には入らない。(これも所得税と一緒)
- 0~15歳の児童も児童手当の計算上は、扶養親族のカウントに入ります。(これは所得税と違う!!)
所得から控除を引いて、最後に扶養人数に応じて扶養控除が発生します。
→税金を計算するうえでは、0~15歳は扶養に入らないのでご注意ください。 - 給与所得、雑所得がある人は控除額が10万円増えます(これも所得税とは違う)
- 扶養家族が一人以上いると15万円の謎の控除が発生している模様・・・(1人以上なら一律15万円)
謎の控除なので、原因解明中。 - 第〇子は、18歳に達したあと、最初の3月31日までの間にある児童(高校3年生まで)の年齢の高い順に「第〇子」と言います。
高校1~3年生は支給対象ではなくても、扶養のカウントに入ります。
ちなみに、第一子が高校卒業した場合…
第一子 → 児童手当給付の計算から外れる。
第二子 → 児童手当給付の計算上第一子になる
第三子 → 児童手当給付の計算上、第二子になるので15,000円貰えてた子も10,000円に減額。 - 前年の12月31日時点の状況による計算です。(これも所得税と一緒)
赤ちゃんが扶養親族として計算できるのは翌年からです。 - 他の控除がある場合は、収入額の目安を超えてもセーフになる可能性もある
控除額
- 社会保険料 一律8万円
- 雑損控除額
- 医療費控除額
- 小規模企業共済等掛金控除額
- 障がい者控除 27万円(特別40万円)
- ひとり親控除 35万円
- 寡婦控除 27万円
- 勤労学生控除 27万円
なんとなく、収入に対して、所得が高いので、これは控除がどうなってるんだ?
と思って調べてみたところ、使える控除がめっちゃ少ない…
ふるさと納税(寄付金控除)や住宅ローン控除も使えない。
高所得者ならすっごく高い社会保険料も一律で8万円はホントすくない。
生命保険料控除とか微々たる金額の控除もなし。
なかなか渋いです。
具体的に、所得税と児童手当の計算はどのくらい違う?
上記の「そして、児童手当が何もなくなる所得制限(所得上限)」の表の一番上の所得である1071万円を例に見てみます。
所得税 | 児童手当 (子供0人) |
|
---|---|---|
給与収入 | 10,710,000 | 10,710,000 |
給与所得控除 | 1,950,000 | 1,950,000 |
給与所得 | 8,760,000 | 8,760,000 |
給与所得 | 8,760,000 | 8,760,000 |
給与所得控除の調整の控除 | 0 | 100,000 |
基礎控除 | 480,000 | 0 |
配偶者控除 | 0 | 0 |
扶養控除 | 0 | 0 |
厚生年金 | 713,700 | 0 |
健康保険 | 517,968 | 80,000 |
雇用保険 | 32,130 | 0 |
謎の控除 | 0 | 0 |
課税所得・判断される所得 |
7,016,202 | 8,580,000 |
なんとびっくり!児童手当のほうが150万円高く計算されてます。
これは大きい!
簡単に計算できるサイトの紹介
そうはいっても計算難しい・・・めんどくさい。
そう思った方のために、見つけてきました!
下記のサイトでは、児童手当の給付額が計算できます。
ぜひお試しください。
児童手当は年末等に配られる給付金にも影響がある
児童手当の所得制限は、年末に行われた給付金にも大きく影響があります。
給付金は1回につき10万円×子供の人数と額が大きく、家計への影響も甚大です。
この給付金にも所得制限がかかり、児童手当の所得制限が使われました。
さらに残酷なことに、子ども同士の会話でも
「10万円でなに買った?」という会話がされます。
ここで「うちは貰えなかった・・・」というと
「お前んち、悪いことしたの?w」と言われた子供もいたようです。
もちろん、貰えなかったお子さんの親御さんは悪いことをしたわけではありません。
人よりちょっと稼いだだけ・・・
それなのに、まるで罰ですよね。
親が子育て罰や、稼ぎ罰で苦しむ姿を見て、
子どもにどんな大人になる夢や希望を与えるのでしょうか?
稼げば税金だけだった過去から、今は福祉をどんどん打ち切られていく現在。
児童手当だけ
高校無償化だけ
奨学金だけ
医療費だけ・・・
ならば、こんなにも高所得者も苦しくはならなかったでしょう
署名活動にご協力ください
そう声をあげて、政党を超えて、
子育て支援の拡充をしようとしている政治家たちに働き掛けをしている人達がいました!
話を聞いたところ、署名が10万人分集まると、国会でも威力を持つそうです。
所得で差別されることもなく
”本当の意味で”すべての子どもに教育や支援がいきわたり
子どもを欲しい人が生みやすい・育てやすい国に生まれ変わってほしい…
そう願いを込めて、私も10万分の1になりました。
もし、このページをご覧になって、
少しでも「日本の未来、子どものために何かしたいな」
と思ったら、ぜひ署名からスタートしてみませんか?
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